第一章 救援の重さ
第3話 1/2/3 エトンは一国の首都であり聖地であった。 最初にロハン大陸に足を踏み入れた8人のジャイアントは、この大地から得られた物を集めて神への感謝祭をあげた。 ジャイアントを創造した大地の神ゲイルはその場にその姿を現しジャイアントを祝福した。 そして、この荒れた大地を統治し、全ての存在がジャイアントに従うようにすることを命じた。 その場所がジャイアントの首都、エトンである。 きめ細かく飾られた王宮はジャイアントの中でも長身な方であるナトゥーにさえ威圧感を感じさせた。 いつもその勇壮な美しさに感心していたが、今日のように誇らしく思えたことは初めてだった。 ジャイアントがロハン大陸に姿を現せてからかなりの歳月が経った。 しかしこの広い大陸の中でジャイアントが支配している領域はごくわずか。 この大陸を支配しその栄光をゲイルに捧げるどころか、 日々その数を増加させるモンスターから今の領域を守るだけで手がいっぱいだった。 「ナトゥー?」 クレムが低い声で呼んだ。彼はアゴで王宮の方を指した。 ナトゥーは軽く頷き、クレムと王宮入口に続く階段に足を運んだ。 最近、クレムはずっとナトゥーの様子を伺っていた。 また、ナトゥー自身もそれに気づいている。 弟のラークの戦死後、自分で気づくほど精神が不安定だったからだ。 「戦士会からの理由もないお呼びってどういった用件なんだ。」 クレムは少し心配げにつぶやいた。ナトゥーは肩をすくめて見せた。 実は彼は戦士会からの呼び出しより、その後に母親と会うことになっていることがすごく気になっていた。 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |