狂気を運ぶ暴雨
第7話 1/2 フロイオンを支持する貴族が増えることにより、会議を開くことも頻繁になった。 ゴック・シャルクはフロイオンを支持する勢力が大きくなることに満足したが、フロイオンは不安を取り払うことができなかった。 フロイオンがイグニスに戻ってきたことを知らない者は国王カノス・リオナンだけだといわれるほど、フロイオンの帰還が多くの人々に広まっていた。 ずる賢いジャドル・ラフドモンなら自分について情報を入手しているはずなのに、 何の動きも見えないのが逆に心配になってきた。 「さあ、私はジャドル・ラフドモンについてはよく知りませんが、フロイオンさんが戻ったことを恐れているのはないでしょうか?暗殺が失敗し、無事生還しましたことを」 朝から始まった会議の休憩時間にジュリエットとフロイオンはバルコニーで話をしていた。 「本当にそういうことなら幸いですが、彼女は良心とは遠く離れている人です。 私が彼女に習いたいと思っている点は細かいことに気を使わないことです」 「彼女を憎まないでください。 誰かを憎むことは自分の心を汚す毒になってしまいます」 何も言わずにジュリエットを見つめていたフロイオンはささやくように話した。 「ジュリエットは他のダークエルフとは違いますね」 「え?何が…ですか?」 「何て言えばいいだろう…純粋という言葉が一番ふさわしいようですね。 あなたを見ているとまるで天使を見ているような気がします」 ジュリエットは微笑みながら答えた。 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |