狂気を運ぶ暴雨
第8話 1/2/3 「下位神たちがお前たちを脅かしていると?ジャイアントの創造神であるゲイルは? マレアは?フロックスは?」 「そう。下位神たちから脅かされた。俺達だけじゃない。サーペンター、ノール、アピル…少数種族たちは皆下位神たちに脅かされた」 「何と脅かされた?」 乾いてない葉っぱの煙で魚を燻製しながら、イジケは静かにしゃべった。 「自分たちがロハンの主な種族たちを抹殺することに協力すれば、命は救うと」 イジケの衝撃的な発言にショックを受けたナトゥーは信じられないといった表情になった。 「信じられないだろうけど、事実だ。理由は分からないが下位神たちはロハンの主な種族を抹殺することを決めていた。俺ら少数種族は生き残るために協力することを誓った。 しかし…無駄なことだと思う。結局彼らは全ての生命体を殺すつもりだろう」 「嘘だ!」 「信じるかどうかはお前の判断だ。しかし最近の流れを見れば俺のいうことが嘘ではないことが分かるだろう?」 ナトゥーも戦闘の中で数多くの死を見ながら、神たちがもしかして自分たちを見ていないのではないかと疑ったことはある。 しかし、イジケの話はあまりにも衝撃的な事実なので、受け入れることがつらく感じられた。 「そういえば、ラウケ神団の人たちみたいなバカはないだろう。 もう聞く耳を閉じている神たちに祈りをあげてもしょうがないだろうが…」 「何?今何と言った?」 「耳を閉じている神たちに祈りをあげてもしょうがないと」 「いや、その前、ラウケ神団と言ったか?」 「そう。ラウケ神団の人々よりバカはないだろうと言ったが」 ナトゥーはいきなり立ち上がりながら聞いた。 「ラウケ神団について知っているか?」 「ああ。森で旅行している彼らをよくみかけた。それが何か?」 「ラウケ神殿修道院を探しているんだ。何処にあるか知っているか?」 「あ…一回聞いたことがあるな…そうだ。エルフの首都、ヴェーナの南の方にあると聞いた。海辺にあると」 ナトゥーは素早くライノに乗った。 「おい!待てって!」 イジケは燻製した魚を自分の矢筒に入れて、ナトゥーに渡した。 「何でそんなに急ぐのか分からないが、お前の目を見るとすごく大事な人のためだろう? ぜひ再会することを願うぞ。 そして…この世が終わる前に縁があればもう1回会って話がしたいな」 ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |