運命の分かれ道

第5話 1/2

大司祭がエドウィンの首にメダルをかけながら、神の祝福を祈り始めた。

「ロハ神の言葉で君の祝福を祈る」

いきなりエドウィンが後ろに下がりながら話した。

「神からの栄光は断ります」

皆が驚いてエドウィンを振り向いた。大司祭は慌てながら聞いた。

「何故なのか」

「もう神は存在しないと思っているからです」

「なんだと?」

大司祭の隣に立っていた聖騎士団長が怒鳴りだした。
人々のなかで騒ぎの声があがった。
もっと何かを話そうとしている団長を大司祭が止めた。

「そなたがそう思っている理由が知りたい」

「神は我々を愛し保護する存在です。しかし、いつからか神は我々から目をそらしています。
目をそらしている神は既に存在しないことと違いがないと思います」

「そうか。よくわかった。そなたの意思は国王陛下に伝えるようにする」

それは一種の脅迫である。神を否定する聖騎士の話を聞いた国王の反応は目に見えるものだった。

‘俺は多分罷免されるだろう…’

エドウィンが大司祭の前で神を拒否した話はデル・ラゴス全域に広まった。
皆、エドウィンが狂ってしまったと噂をした。
何人かは心の中で同意している者もいたが、表には出さなかった。
大司祭からエドウィンの話を聞いた国王は怒りを覚えた。
神への心を基本とする聖騎士が神の存在を否定することは有り得ない。
数日にわたる会議の後、エドウィンの処罰が決まった。
エドウィンは聖騎士の任を罷免し、監獄に閉じ込める。彼に死が訪れるまで…
またエドウィンの逮捕命令は、グレイアム伯爵にくだされた。


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