運命の分かれ道
第3話 1/2/3/4/5 カルバラ大長老が杖を振るうと、炎の球体が現れキッシュに向かって飛んだ。 キッシュは剣で炎を振り払い、大長老に立ち向かった。大長老の杖とキッシュの剣がぶつかった。 「苦しまず殺してやろうとしたのに、自ら墓を探してきたのか!アドハルマ!こいつを片付けろ!」 「了解」 アドハルマの声が部屋中に広がり、黒い霧のようなものがキッシュの周りで大きくなっていた。 霧はまるで生き物のようにキッシュにだんだん近づいていった。 「ぐぅっ!」 骨が折れる音がしながら、キッシュが苦しい悲鳴を上げ、手に握っていた剣まで落としてしまった。 カルバラ大長老は傲慢な声で笑いながら話をした。 「自分の力も分からず妄想に入り込んでいるからこういう目に遭うのだ。 中毒になっている間におとなしく死んでいればよかったものを。ふふふ」 「くぅつ!妄想にさらわれているのは大長老、あなただ!デカン族を犠牲にしアルメネスを復活させると? 過去の栄光にとらわれている彼方のせいでデカン族は滅亡するだろう!」 キッシュは血を吐いてしまった。 「ふっ!デカン族はドラゴンで生まれ変わるのだ!さあ、別れの時間だ。 アルメネスが復活できれば、ドビアンも彼方のそばに送ってやろう。心配するな寂しがらなくてもよい!死ね!」 キッシュの頭の隅にドビアンの顔が浮かんだ。 いつも自分を信頼してくれたドビアンの顔と自分を殺そうとした侍女の顔が重なった。 悪魔に呪われた親友の顔に、死んだナルシの顔も重なった。 自分の手で殺すしかなかった最愛だったナルシのことを思い出すと体の奥側から怒りが湧き上がり始めた。 「うあああああ!」 いきなりキッシュの体から強力な光が噴出され始めた。 キッシュを囲んでいた黒い霧は光に破り始まった。 光に満ちたキッシュは大きく悲鳴が上げ、カルバラ大長老は驚いてアドハルマに叫んだ。 「な…なんだ!アドハルマ!早くあいつを殺せ!」 しかし、アドハルマは怯えた顔でキッシュを見ていたが、やがてその場で消えてしまった。 大長老はアドハルマが自分を裏切ったことがわかった。 キッシュに向かい杖を振るったが、大長老の杖はキッシュの体にぶつかり重い音を立てた。 その瞬間、キッシュの体から光が消え、キッシュの体は前へ倒れた。 大長老は自分の攻撃でキッシュが倒れたと思い、とどめをさすために炎で攻撃した。 キッシュの体に炎がぶつかると思った瞬間、キッシュの短剣が大長老の胸に刺された。 ・次の話に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |