運命の分かれ道
第7話 1/2 エルフ達の目につかぬようラウケ神殿修道院まで行くのはなかなか大変だった。 しかし母親に会いたい強い気持ちでナトゥーは修道院に着いた。 ナトゥーはライノから降りて、修道院の門に向かった。門といっても門ではなく、アーチだった。 誰でも歓迎しますともいうように、やわらかい曲線になっていた。 アーチの中に入るときれいな庭園が迎えてくれた。 庭園の中にはエルフが本を呼んでいたり、静かに話し合っていたり、平和な様子だった。 ナトゥーは自分もしらず緊張して、腰にかけている剣に手が向かったが、そんなナトゥーと目が合ったエルフは優しく微笑むだけだった。 庭園を見回ったら、向こう側に建物の入口があった。平和な一時を送っている人々の中で、武装した自分が無法者のような気がして、急いで入口へ向かった。 入口の前で少し迷ったが、ドアをたたいてみたら、中から人が出た。 赤い髪の毛に緑色の目がきれいなヒューマンの女性だった。 ナトゥーはヒューマンの女性が出て一瞬緊張したが、彼女は驚く様子はなかった。 「何の御用ですか?」 彼女の優しい質問にナトゥーも落ち着いて答えた。 「俺は…母親を探しています。ここに向かうと手紙を残して家を出ました」 「あ、そうですか?失礼ですが、母親のお名前を教えていただけませんか?」 「ナニ…ナニです。私は息子のナトゥーです」 「あ、ナニさんの息子さんでしたか?よく来てくれました。さあ、案内しますので、私に付いてきてください」 赤い髪の毛のヒューマン女性の後ろを追いついていきながら、建物の中に様々な種族の人々がいることをみて驚いた。 ダークエルフ、エルフ、ハーフリング、ジャイアントまで… ロハン大陸に住んでいる種族の人が住んでいるのに敵対している様子はなかった。 壁は本で埋め尽くされている部屋と通路を通して、ガラス張りの部屋に届いた。 ナトゥーに案内してくれた女性はドアの前で止まった。 「この部屋にナニさんがいます。一つ…前もって話したいことがあります。」 ・次の節に進む ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |