第二章 神を失った世界
第2話 1/2/3 エドウィンにお礼を言いながら、顔を隠していたフードを脱いだ人物はハーフリングの女性だった。 ヒューマンから見たそのハーフリングの女性の年齢は10代後半ぐらいにしか見えなかった。 そのハーフリングの女性、タスカーがお礼として食事を誘い、2人は一緒に食事をして、 そこでお互いの目的地が同じところだということを知った。 タスカーは本来、ハーフリングの所有物であるセルカ天体観測所を訪問してから、 自国のリマに帰る途中だった。 エドウィンははっきりした任務の目的がないまま、他の異種族の国に行ってみたいと思い、ヒューマンと良い関係であるハーフリングの国に向かっているところだった。 それから一緒に旅して3日目、エドウィンはタスカーがただ可愛い外見のハーフリングの女性ではない、ということに気付き始めていた。 「ニンジン食べなさいって言ったでしょう?体に良いから食べなさいって言ってるのよ。 それに毎日戦闘ばっかりしてたら、こんな新鮮な野菜を食べられる機会はなかなかこないの。」 「…なんていうやかまし屋だ」 エドウィンの不満そうな呟きはタスカーにまで聞こえたようだった。 彼女は眉を上の方に上げて見せたが、すぐ笑顔を戻した。 「年上の話しだから聞いた方が得するからね。 私はあなたと同じくらいの年齢の子供が2人もいるから。 これも大人が心配して言ってることだから聞いてね」 エドウィンよりずっと年下のような顔に背のちっちゃいハーフリングの女性。 この3日間一緒に旅しながら、エドウィンが気に入らない行動をすると、彼女は自分の年が遥かに上ということを強調しながら、何回も繰り返して叱った。 彼女の話が本当かどうかは分からないが、気持ちはすでに やかましくて厳しいお年寄りと旅している気分だった。 「…うるさい年寄りだな」 エドウィンの冷ややかな言葉は今回もタスカーに聞こえたようだった。 エドウィンは睨みつけるタスカーの視線を避け、慌てながら小さく切れてあるニンジンを飲み込んだ。 ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |