第三章 因果の輪
第6話 1/2/3 「…なんてこった」 そこには子供達の死体が散らばっていた。 そして魔法の力に飛ばされないように精一杯になっている者らがいた。 彼らは全員黒い服装で両手には刃物らしき物が付いているように見えた。 一見、ヒューマンに見えたが、何かが違う。 「彼ら、ダンだわね。」 タスカーがエドウィンに呟くように言った。 「ダン?」 エドウィンの反応にタスカーは驚いた顔をした。 「ダンを知らないの?あなた達ヒューマンと同じ血が流れるダンを?」 エドウィンはタスカーがダンと呼んだ者らをもう一回見ながら聞いた。 「何の話かさっぱり分からないです。 彼らはヒューマンっぽく見えるがまったく違います。 ダン…?聞いたこともない」 「まあ、詳しい話は後でね。 今はあの光の中に立って魔法を使い尽くしている誰かを助けなきゃ」 タスカーは素早い足で光が渦巻いている方へ走り始めた。 エドウィンもその後に続いた。 そして2人は遠くから見たその光がただの光ではなく、魔法の気運というのが分かった。 そしてその中には1人のダークエルフが立っていた。 ‘こんなに大量の魔法の気運が全部1人のダークエルフから出たっていうことか!‘ 魔法を発動しているダークエルフを見るのは初めてだ。 幼い頃やつい最近魔法を発動するエルフは見たが。 幼い頃、父親に連れていってもらったアインホルンの王宮ではたまにエルフを見かけた。 そしてついこの前グラット要塞で自分を助けてくれたトリアン・ファベルが魔法を発動するところを見た。 しかし今あのダークエルフの魔法は正常だとは言えないほど強力だ。 まるで全身のエネルギーを使い尽くそうとしているようだった。 エドウィンは今ここで命がけの戦いが起きていることには気付いたが、どっちの味方になるかを決めることができない。 ・次の節に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |