第三章 因果の輪
第1話 1/2/3 「フロックスー!!」 ロハの抑えていた怒りは爆発した。 そうなると、彼の周りには渦巻きが起こり、全身からものすごい光があふれてきた。 それを見たフロックスは自分を抑えていた力を炎で押しのけ、ゆっくり体を起こした。 炎が違う力をぶつかる音を出して消えた。 その時、ロハの体は空中に浮かび、ものすごい速度でフロックスに近づいてきた。 フロックスは正面から近づいたロハの殺気あふれる目に思わずぞっとした。 「俺に逆らうつもりなら…」 ロハはささやくように言った。 「俺の手で殺してやる」 ロハの話しが終わったと同時にロハの右手に集まった光の塊がフロックスの胸を攻撃した。 フロックスは胸に激痛を感じ、後のほうに倒れた。 口から血が吹き出された。 しかし彼の燃えるような瞳には痛みよりも強い怒りが映っていて、 やがて起き上がったフロックスは強力な火炎でロハを襲った。 炎は渦巻きながらロハを襲う。 「ロハ!」 後でただ見ていたゲイルが声を出してしまった。 しかし炎の渦巻きはロハが発する光の力に飛ばされて消えてしまった。 ロハは殺気まで浮かべた表情で手を開いた。 そうすると彼の掌に透明な剣が現れた。 剣の周りには白い光が渦巻いた。 ロハは剣を握り、さっきより早いスピードで移動して、剣を振るった。 ロハの素早さにフロックスは避けることができず、炎の盾作った。 剣や盾がぶつかる音がし、まぶしく光った。 「くぅ・・・・」 ロハの力に盾は壊れ、剣はフロックスの肩を貫通した。 肩から血が流れた。 ロハは剣を握りなおし、フロックスの首を狙って剣を打ち下ろした。 その時、透明な防御膜がフロックスを包み、ロハの剣は撥ねてしまった。 ロハは恐ろしい目で後を振り向いた。 その目が届いたところには水色の髪の毛をしたマレアが心配そうな顔をして立っていた。 マレアは下位神のうち2番目、水を司る神だった、 ロハはマレアの阻止などは気にもしないといわんばかり、また剣を握り締めた。 今度はその透明な防御膜で剣を包んだ。 「やめてください、ロハ」 マレアはロハの方へ歩いてきた。 ロハは目の前で両手をひろげているマレアをしばらく見つめた。 彼女の瞳には恐怖を感じられ、ロハは溜息をつきながら手を下ろした。 「フロックス、アルピアから離れろ、俺の目の届かないところへ行ったほうがいいぞ」 氷を刺すような言い方だった。 「俺はここで死んでもかまわないけど」 「じゃあ、殺してやる」 フロックスはマレアを見た。マレアは顔を軽く振った。 「生きてやるよ、お前が正しいか俺が正しいか最後まで見てやる」 フロックスは肩の傷を手で押しながら立ち上がった。 マレアはその姿に哀れな視線を送った。 フロックスはマレアに微かに笑って見せて、次元の扉を開いた。 フロックスがすぐにでも倒れそうな動きで消えた後、 これまでのことをただ見ていたゲイルは一人で呟いた。 「全ては主神の意志の中で」 ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |