第四章 隠された真実
第11話 1/2/3/4/5/6 ダークエルフの首都であるモントは火山から噴き出された溶岩灰の舞う空の下に位置している。 ナトゥーがモントに着いたのは夜明けごろだったが、ダークエルフの国王と会えたのは月が昇る時間だった。 首都入口の警備兵たちが、ジャイアントであるナトゥーの通過を認めてくれたので、ダークエルフの国王の許可を待つしかなかったためである。 ナトゥーはバタンから貰ったジャイアントの国王レフ・トラバの指輪を警備兵に提示したが、彼らはその指輪には目もくれず、王宮の許可無しでは入れないと脅した。 待つことには慣れていたナトゥーではあったが、半日以上を相反する他種族の地で待つのはあまり面白いことではなかった。 夕日が暗い空に赤いオーラが漂いはじめたころになって、やっと王宮からの使者ダークエルフが出迎えに来た。 彼はいくらジャイアントの国王の指輪を見せようとしても身分の低い警備兵たちはそれがどれだけ重要なものなのかも知らないといいながら、ナトゥーの怒りを治めようとしたが、ナトゥーは何の反応も見せなかった。 首都の入口からモントの中央に位置している王宮に入るまで、国王の専属侍従というそのダークエルフはナトゥーに色々と話を掛けてきたがナトゥーは固い表情で前を向いて歩くだけだった。 警備兵の話から始まった侍従のおしゃべりはダークエルフ初代国王ギデオン・カラトラバに続き、王宮の門まで着いたころには現国王のカノス・リオナンと王妃の間には王子が無く、王女が5人であり、そのうち長女のエミリタ王女が次の王位を継ぐのではないかとの話まで進んだ。 「王子がいないのであれば、フロイオン・アルコン卿が王位を継ぐべきでは?」 ナトゥーの質問に侍従は意味深い微笑を浮かびながら静かに答えた。 「フロイオン・アルコン卿が生きておられればとの話しょうが…」 「フロイオン・アルコン卿はまだ生きておられます。 ハーフリングと一緒におられますが、きっと生きておられるはずです」 ナトゥーの確信に満ちた声に少し驚いた顔をした侍従はあまり気にしていないというような顔で地面の赤いベルベットカーペットを指した。 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |