第四章 隠された真実

第13話 1/2/3/4

家の人たちが皆眠りについたと確信したフロックスはゆっくりとベッドから起き上がり、窓から部屋を抜け出た。

ハーフリングの村に来て、自分を発明家と紹介したディンの家に泊まることになって以来、彼の日常はだるく感じられるくらい安らかだった。
時間が経つほど、自分が神ではなくロハン大陸の民に近づいて行くような気がした。
神としての力を失い全ての事を自ら解決しなければならなかったことでもはやそれに慣れてしまい、元の力が戻ったとしてもその力を利用しなくなるような気がした。

そうやって何日間を過ごしたフロックスは、ある日、全身で覚えている馴染みのある気配を感じた。
それは昔消えてしまった父親である主神オンの力だった。
以前とは比べられないほど弱く幽かではあったが、主神オンの物に間違いない。
しかも一つではなかった。
最初は一つの力が暴走するのかと思えば、すぐに治まり、その後二つの力がぶつかり合う。
一瞬止まったと思ったら二つの力が街に向ってくる。

フロックスはその二つの力に精神を集中した。
その力の持ち主はロハであり、自分を殺すために送り込んだモンスターである可能性もあった。
主神の消滅を誰よりも早く感じたロハなら、主神オンの力が篭った欠片をどこかに隠しておき、それを利用してモンスターを作り出すのは簡単なはずだ。
しかし二つの力が街に入った後も、街内は静かだった。モンスターでなければ、一体どんなものが主神の力を持っているのだろう。
フロックスは夜遅くリオナが戻って話してくれた、街で泊まることになったと言うヒューマンの聖騎士と貴族だと思われるダークエルフに関しての話から、その力の持ち主たちに関して知ることが出来た。

「グスタフ爺さんの話では、気絶したハーフリングのおばさん−お連れさんの話によるとタスカーだって−は、ゆっくり休んだら大丈夫だけど、ダークエルフは危ないんだって」

「グスタフならそのダークエルフも大丈夫だ。
アイツ、腕は確かだからな」


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