第四章 隠された真実
第10話 1/2/3/4/5/6 「生き残りたいか」 目を覚めようとしても力が入らず、まぶたが重かった。 ライはやっと頷けた。 「いいだろう。俺が助けてやる。 ただ、後で俺に何で助けてくれたかと恨むなよ」 遠くなる意識の最後にライは自分を抱き上げる優しい手を感じた。 顔に落ちた夜明けの露に驚いて目を開けたときには、ライの隣には消えていくたき火しかなかった。 いくら周りを見回っても他の人の姿は見えなかった。 おどおどしながら席を立てたき火から離れようとしたその時、後ろから人の声が聞こえた。 「おはよう、チビ」 ライはびっくりして振り向いた。 たき火の向こうに重いマントを着た男が一人座っていた。 つい先までは人の姿など全然見えなかったのに、彼はまるで今までずっとそこで座っていたように見える。 「村人たちに追われるほどの罪を犯すには、君はあまりにも幼いのではないかと思うがね」 ライは男の向こうにゆっくり座りながら何も言わなかった。 「これからどこへ行くんだ?」 決めたところは無かった。 ただ、母を魔女と称して殺した人たちから離れるのであれば、どこでも良かった。 「俺と一緒にいくか?」 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |