第四章 隠された真実
第11話 1/2/3/4/5/6 「詳しいことは国王陛下に直接お伝え下さい。 このカーペットを辿ると謁見の間に着くはずです。 それでは、わたくしはこの辺で」 侍従は頭を少し下げてお辞儀した後、カーペットの反対側に去った。 その侍従の後姿を見つめていたナトゥーはカーペットを辿って歩き始めた。 すでに夕日は沈み、かすかな月光が廊下を照らす。 赤いカーペットは月の光を受け、ダークエルフの王国イグニスでは珍しくない溶岩のように輝く。 暗い廊下で溶岩のようなカーペットだけを見て歩いていたので、周りが明るくなったのも気づけなかったナトゥーは、自分を呼ぶ声を聞いてから自分が廊下でなく、ある豪華な広間に立っていることが分かった。 「良くぞ参りましたぞ。 ジャイアントの戦士よ」 あれだけ陰うつな城にこんな広間があるということが驚くべきであるくらい、ナトゥーが入った広間は明るくて華麗だった。 天井には大きな赤い宝石を中心に色とりどりの宝石が空中に浮かんで廻しながら部屋を照らし、家具は黒色の木材で作られたものの、繊細な金細工と宝石によって高級で豪華な印象を与えてくれた。 赤いベルベットのカーペットの向こうには幅の広い階段があり、濃灰色の鎧をまとう近衛二人がカーペットの両側に立っている。 その赤いカーペットは階段の上の豪華な椅子まで続いていた。 ナトゥーはその椅子に座り自分を見下ろしている人を見つめた。 左手で頬杖をついているダークエルフは高慢な顔でナトゥーを見ていた。ナトゥーは一目で、その高慢な顔の持ち主が現ダークエルフの国王、カノス・リオナンということが分かった。 ナトゥーが見てもカノス・リオナンとフロイオン・アルコンは全然似てなかった。 腹違いの兄弟であっても一つくらいは似たところがあるはずなのに、カノス・リオンアとフロイオン・アルコンは似ても似つかなかった。 フロイオン・アルコンが濃蒼色だとしたらカノス・リオナンは燃え上がる赤色だった。 「お目に掛かれて光栄です、陛下。 わたくしはドラットから参りましたナトゥーと申します。 レフ・トラバの命により、陛下に謁見するためこの地に参りました」 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |