第四章 隠された真実
第12話 1/2/3/4 「どういう意味ですか?」 「俺は神そのものを信じるわけではないが、ラウケ信徒たちが主張するのが事実なら、モンスターがこれだけ出現しているのに神が何の助けもしてくれないという現実が、彼らの主張の根拠ではないかということだ」 カエールの言葉にリオナは自分に問うように静かに呟く。 「神はなんで私たちを憎むのだろうね?」 カエールが分からないというように肩をそびやかす。 「ヘルラックっていったいどんな人で、なぜ神が私たちを憎むといったのだろう…」 「ヘルラックはヒューマンの歴史に在る預言者でした」 エドウィンからの予想できなかった答えを聞いたリオナはびっくりした。 「ヘルラックを知っているの?」 「ええ、彼はデル・ラゴス第3代国王であったクラウト・デル=ラゴスの親友であり臣でした」 「でもなんでラウケ神団に関しては知らなかったの?」 「彼は自分の兄を殺して王になった人。 結局、甥と義姉が率いた軍に敗れ、デル・ラゴスから追い出されました。 その時ヘルラックも共にデル・ラゴスから去ったと聞きました。 反逆者であり、デル・ラゴスからも忘れられた存在です」 エドウィンはリオナにヘルラックとクラウトに関して説明をしながら、ふとダンという種族を思い出した。 タスカーはダンとヒューマンが同じ始祖を持っているといったけど、それはクラウトとヘルラックのことだったのだろうか。 考えてみればありえない話ではなかった。 ただ、その当時には各国家の境界はドラゴンが守っていた。 彼らはどうやってそんな遠くまで行けたのだろう。 それもまたヘルラックが鍵かも知れないと思いつつ、エドウィンはアインホルンに帰ったらすぐヘルラックに関して調べようと決心した。 自分がグラット要塞でみたのが本当の神なのか、ラウケ神団の言うとおりなぜ神がロハンの種族を憎み、どのようなことが行われているのかが知りたかった。 首都の大神殿で聖騎士になるための訓練と授業を受けながら、神への信仰は深くなった。 しかし聖騎士として役割を果たすためグラット要塞に派遣された途端、彼の信念を根本からぐらつかせる事件が起こり、エドウィンは苦しんだ。 想像も出来なかったことが目の前で繰り広げられ、そのことが何を意味するのかの確認も出来ず、疑いだけが膨らむ。 本当の神の真実に近づかないと、この苦しみは消えないような気がした。 「考えれば考えるほど理解ができないけどさ、なんでラウケの子供たちが襲われたのだろうね」 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |