第四章 隠された真実

第14話 1/2/3/4/5/6

「なんで?
俺も司祭様になりたいのに…」

「お前は本を読むことより剣の稽古のほうがもっと好きなんだろう?」

「そりゃそうだけど…
司祭様のほうが格好いいじゃん」

ジフリットは頭を横に振った。

「そうじゃないよ。
神様に仕え、陛下に忠誠し、民を護る聖騎士ほど名誉な人はいないんだ。
実は俺も聖騎士になりたかったんだ」

「じゃあ、なんで司祭様になったの?」

聖騎士にならず、なんで司祭になったのかと聞くと兄は苦笑しながらエドウィンの頭をなでるだけだった。

今考えてみると、兄が何故聖騎士ではなく、司祭の道を選んだのか理解できるような気がした。
父は他の貴族とは違ってどの勢力にも加担せず、政治的な争いには関心の無い忠誠心溢れる国王の臣だった。
しかしバルタソン男爵は近衛訓練隊長に勤めていたので、彼を自分の勢力に引き入れようとする貴族が多かった。
多くの貴族が父にあらゆる誘惑や脅迫をして自分の味方にしようとしたものの、父は自分の道を歩くだけだった。
兄はそういうことが不安だったので、自ら家門を守ろうと司祭になったのだとエドウィンは察した。

「ん?」

グスタフの家に近づくと、金属がぶつかる音がした。
エドウィンは鞘に納められている剣の柄を握り、家の中に飛び込んだ。
グスタフは何の音も聞こえなかったように、ペチカの近くに座って本を読んでいたが、いきなり飛んで来たエドウィンを見てすごく驚いた。

「何のことだ?」

「刃がぶつかる音が聞こえるじゃないですか!」


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