第四章 隠された真実
第4話 1/2/3 「方法はあるはずです。 未来を変える方法はきっとあるはずですよ。」 トリアンはリマ・ドルシルを慰めようした。彼女の頬にはいつの間にか涙が伝っていた。 「嘘でもいいから… 私が見たのと違う未来が見えたと…誰かに言われたいです。 私が見たのが全部間違いだったと非難しても、私はその人の言葉を何の疑いも無く信じてあげます。 誰もがその人を非難しても、私とは違うその人の予言を信じてあげたいです」 その瞬間、トリアンの頭の中に何かが閃いた。 違うかもしれない。 しかし、いかにかすかな希望であっても、私たちはそれに頼るしかない。 トリアンは慎重に言い始めた。 「もしかして、デルピン様は何かをご存知だったのではないでしょうか。 レゲンを捨て、ヴェーナに移そうと仰った方ですから… これからのことに関しても、何か対策とかを言い残してくださったのではないでしょうか?」 「分かりません。故人の預言者の予言記録は王宮の古文書館に保管されていて、それらは女王陛下の許可がないと閲覧できないので・・・」 「デルピンの予言のことですか?」 声が聞こえた方向に振り向いたトリアンとリマ・ドルシルは、驚いて跪いた。 「女王陛下!」 シルラ・マヨルが二人の侍女を連れ、トリアンとリマの前に立っている。 透き通るような白い肌と蒼録の瞳、オパールで飾られた銀のかんざしで留めている薄緑の髪が、まるで美しい天使のようだった。 空色のシルクに真鍮色の刺繍を入れたガウンをはおり、深海のような蒼いトパーズのワンドを持った彼女は、トリアンとリマに近づきながら優しく声を掛ける。 「お二人とも、顔を上げなさい」 トリアンとリマ・ドルシルはゆっくりと立ち上がったが、どうしてもシルラ・マヨルに顔を向けなかった。 彼女と目が合えば、自分の心の中を全部読まれてしまいそうな気がした。 「失礼な事だとは知っていながらも、お二人の話に思わず耳を傾けてしまいました。デルピンの予言が気になるのでしょうか」 「はい、さようでございます。デルピンの予言ならば、今の私達に必要な助言が含まれているかも知れないと、そう思っております」 トリアンは慎重に答えた。 長い間禁忌に違いなく扱われてきた話題を取り出すことは容易ではなかった。 少しトリアンを見つめたシルラ・マヨルが口を割る。 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |