第四章 隠された真実
第7話 1/2/3/4 「リオナはディンというハーフリングの孫だ。 ディンは13年前に森の中に捨てられていたヒューマンの赤ん坊を見つけて、リオナって言う名前まで付けて自分の孫として育てたんだ。 皆結婚もしていない人が孫なんてあり得ないって笑うだけだったし、ハーフリングがヒューマンの子を育てられるか心配もしたのさ。 でも今はここの皆はリオナをハーフリングだと思ってるし、リオナも自分をハーフリングだと思ってるよ。 外見はヒューマンだけど、性格とか考え方はハーフリングと同じなのさ」 リオナの方に視線をやりながら話しを続いていたカエールがエドウィンの方を向いた。 [そういえば、ヒューマンは残酷な種族さ。 同じヒューマンの赤ん坊を捨てるなんてな。 ハーフエルフがアインホルンから離れてカイノンに定着したのはしょうがないことなのさ。そう思わないか、聖騎士殿」 カエールの口から出た聖騎士という言葉には特に感情がこもっているようだった。 エドウィンはリオナの親がモンスターに襲われて、子供だけ残して死んだかもしれないと反論しようとしたが、リオナが近づいてくるのを見てやめた。 「何の話? あっちからもカエールさんの目が光ってるのが見えたよ」 リオナはカエールとエドウィンの間に座りながら聞いた。 「大した話じゃないさ。この宿のキノコシチューが驚くほど美味しいっていう話さ」 リオナはあいづちを打つように拍手した。 「そうでしょう?ビッキーおばさんのキノコシチューはこの町で最高に美味しいの」 「そうさそうさ、たぶんこの地域で最高だよ。この近くの、いくつかの町で色んな食べ物を食べてみたけど、ビッキーのキノコシチューが最高に美味しかったのさ」 リオナは面白いって表情で笑いを漏らした。 「ビッキーおばさんが聞いたら喜ぶね。 えー? あのカエールのやつがそう言ったのかい? って」 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |