第四章 隠された真実
第9話 1/2/3 「私がやってみます」 トリアンは決心したというように強い口調で言った。 リマ・ドルシルは驚いた顔でトリアンを見つめる。 「私はヘルラックという名前を存じています。 彼はヒューマンの国、デル・ラゴスの昔の預言者だそうです。 エルフの中では彼の名前を知る人は誰もいないと思います。 多分女王陛下さえも御存知ではないでしょう。 もしかしてこの詩を解読することが私の定めなのかも知れません」 彼女はいったん話をやめてまたデルピンの詩に書かれている「ヘルラック」という単語に視線を投げてからまた話し始める。 「今分かるものはそれしかありませんので、デル・ラゴスでヘルラック調べてみる必要があると思われますね。 そこで答えが得られるか、またはもっと遠くまでの旅になるかは分かりませんが、どうか幸運を祈ってください、大神官様」 「トリアン…」 リマの目に涙が浮かんだ。 トリアンはそんなリマを慰めようと明るい声で話す。 「あまり心配しないでください。すぐお戻りしますから」 リマはトリアンに近づき、彼女の頭に手を載せ、祝福の祈りを捧げる。 トリアンは目を閉じてリマの声に耳を澄ます。 柔らかく清らかな日差しのようなリマの祈り声を聞いて、トリアンはロハン大陸から目をそらした神たちも彼女の声を聞いたらその祈りを聞いてくれるのではないかと思った。 どうして神たちがロハン大陸に終末を齎そうとするのかは分からなかったが少なくともエルフの創造神であるマレアはそうでないと信じたかった。 しかしそれはただ彼女の望みに過ぎなかった。 トリアンがリマの祈りに耳を澄ましているその時、アルマナ荘園から近い森の中で女神マレアがエルフたちの前に現れた。 エルフ達は自分たちの前に姿を出した存在が誰なのかを分かったとき、だれもが跪いて涙を流した。 長くどんなに祈り続けてきても答えをくれなかった神がやっと自分たちを救うため現れたと思った。 しかしマレアの口から流された言葉は想像もできなかったものだった。 「私の創造した者たちよ、 私は貴方たちを純粋の結晶として創り上げたのに、なにゆえかのような不潔なものがこの世に生まれるようにしたのか。 貴方たちの血が混じっているかの不完全な存在の物たちを直ちにこの世から消しなさい」 ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |