第四章 隠された真実
第7話 1/2/3/4 リオナは目を大きくし、びっくりした顔で大げさに言った。ビッキーという女の真似なのかってエドウィンはただ見ていた。 カエールの話のとおり、リオナはヒューマンよりはハーフリングに近かった。 もしリオナが普通のヒューマンの少女のように育ったらどうだったんだろう。もし貴族の家で生まれたなら、高級なシルクドレスを身にまとって楽器の演奏や刺繍などを習っていたかもしれない。普通の家庭だったら綿のワンピースやエプロンを着てパンを焼いたりしていたんだろう…それが14歳ヒューマンの日常の姿。 リオナはひざ下まで来る長さのズボンに黄色い上着、そして粗悪な革のブーツ。髪が短かったら男の子に勘違いされるだろう。 だが、リオナからはハーフエルフの冷たい印象の影すらなかった。差しに輝くつぼみのように、彼女の顔は明るく、輝いていた。親から捨てられ、異種族の手で育てられたヒューマンだとは思えないぐらいだった。 「そうなんだ、その中のハーフリングがタスカーさんの息子だったんだね」 カエールとリオナは話題を変えてタスカーの息子、エミルの話をしている。 リオナは本当にタスカーを心配しているようだった。 エドウィンはエミルの遺体を直接見てはいなかった。 遺体の中から息子を見つけたタスカーが気を失い、急いで彼女をここに連れてこなければならなかったから、誰がエミルなのか確認していない。日が昇ったら、タスカーの代わりにエミルの遺体を埋めなきゃ。 「そうらしいんだ。 だけど何故その子達が殺されたのかわかんないんだ。 年齢も違うし、種族もバラバラ。 種族間の戦いでもなさそうだしな… 共通してるのは、白い頭巾の付いたマントをまとっていたことかな?」 「もしかして、腰に太い綱を巻いていなかった?」 リオナが聞いた。 その質問にカエールはその時を思い出すように沈黙した。 そしてすぐうなずいた。 「その子達、ラウケ神団なの」 ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |