第四章 隠された真実
第14話 1/2/3/4/5/6 エドウィンは分わからないと答えた。 「それは命よ。 他の何よりも命というのは、私たちにもっとも重要なもの。 命が大事ではないと言う人はいないと思うけど、遊牧民にとって命とは他の人たちが考えているものよりも大きい意味を持っているの」 「よく分かりませんね」 「簡単に言ってしまうと、敵だとしても死の危機に迫っていたら、まずは彼を救うべきだと思うの。 生きているということだけでも、神様に恵まれていることだから… 誰にも神様が下した祝福を勝手に奪ってしまう権利なんかないというのが私たちの価値観よ」 「タスカー…」 「分かっているよ。 彼女が私のエミルを殺した暗殺者の一人だということは… でもね、エドウィン・・・ 彼女がエミルを殺した人だからといって、私が彼女に復讐をしたとしてもエミルの霊魂の悔しさが減って、私の悲しみが消える? 私はそう思わないわ。 彼女がいつか私とエミルに、真摯に受け止めて許しを求めてくるとその時、私の悲しみが消えると思うわ」 ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |