第五章 レクイエム

第7話 1/2/3

「偉大なるドラゴンの末裔カルバラの言葉通りだった。
キッシュは変わった」

腹を立てているドビアンを見つめながらカルバラ大長老は頷く。

「やっとカルバラの話を信じてくれるのか。
キッシュはかわったのだ。
偉大なるドラゴンの末裔としての誇りなど、すっかり忘れている。
下位神の創造物たちと手を組むべきだと考えておるとは。
そういうことはエルフのような臆病者だけに相応しいのだ」

「未だにドビアンが聞いた言葉が夢のようだ。
偉大なるブルードラゴンアルメネスの末裔であることを誇りにしていたキッシュがそんなに変わってしまうとは…」

鬱憤をこらえられなかったドビアンが拳でテーブルを打ち下ろした。
その衝撃でティーカップの液体が波となり溢れ出る。

「もしキッシュが偉大なるドラゴンの末裔の王位を継ぐことになると、神を破滅させるおろかデカンの滅亡を招くことになるだろう。
だからこそ貴公が偉大なるドラゴンの末裔ペルディナント・ドン・エンドリアゴを継ぐべきである。
どんな手を使ってでも…」

カルバラ大長老はドビアンに、王を選出するために用意された5つの試合の中で、先に3種の試合で優勝した者が王座を継ぐと説明した。
まだ試験の内容は決まってないが、ドビアンが勝ち取れるよう自分が協力すると話も添えて。

「試合では最善を尽くそう」

「必ず勝ち取りたまえ。
偉大なるドラゴンの末裔であるデカンの未来は貴公の手にかかっている。
そのことを常に念頭せよ」

「承知した」


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