第五章 レクイエム
第4話 1/2/3/4 「セリノン」 自分を呼ぶ声にセリノンが振り向く。 彼女の後ろに、ドシジョ派のカイが立っていた。 「何のこと?」 「師匠からのお呼びです」 ドシジョ派はライとディタが所属されているところだった。 たぶん今回の任務から帰ってこない二人の弟子に関して問われるだろうと思いながら、 セリノンはカイと一緒にドシジョ派の本拠地に向かう。 颯爽とした竹の木々の間に黒赤い柱が見える。 そして、そこには柱にもたれて笛を吹いているジン・ドシジョの姿があった。 ジン・ドシジョはセリノンが近づいてくるのを見て、笛を止めた。 カイがセリノンを応接室に案内した。 椅子に座ってしばらく待っているとジン・ドシジョが入り、セリノンの向こう側に座った。 彼は何も言わずに目を閉じて両手を合わし、ビクとも動かない。 セリノンはライとディタに関して聞きたくて自分を呼んだなら早く質問せよと迫りたかったが、自分は弟子で彼は一門派の師匠だったからジン・ドシジョが自分に質問するのを待たざるを得なかった。 しばらくたってからジン・ドシジョは目を閉じたままセリノンに質問を投げる。 「ライとディタはどうなりましたか?」 「両名とも死にました。 ディタはハーフエルフの矢にやられ、ライは任務失敗の責任問われ死にました」 ジン・ドシジョが大きく目を剥く。 「ライに死で責任を取れと?」 「はい。シャドーウォーカーのルールはご存知ではありませんか。 私は原則に従っただけです」 「ライの死を確認しましたか?」 ジン・ドシジョの目つきは鋭くセリノンを向けていた。 ライの死を確認したわけではないが、セリノンはジャドールの魔法によってライは死んだと信じていた。 何のためらいもなく、確信に満ちた声で答える。 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |