第五章 レクイエム

第5話 1/2/3/4

「何で今日あんな決定が下されたんだろうな?」

「俺が知るか、ジャドール様が不機嫌だったのかもな」

「でもよ、半年もほっといたのに、急に殺すっておかしくないか?
それにハーフリングの四大長老の一人だろう…?」

ナトゥーは変な予感がして、酒を飲んでいるダークエルフの警備兵に質問を投げる。

「おい、ハーフリングの四大長老の一人を殺すってどういう意味だ?」

自分たちに話を掛けてきたのがジャイアントだと知ったダークエルフたちは聴かなかった振りをしながら、また話を続ける。
不吉な予感がしたナトゥーは牢獄の鉄格子を激しく揺すりながら叫んだ。

「今何の話をしているのかと聴いているんじゃないか!」

ダークエルフの警備兵の一人が嘲笑いながらナトゥーに反問した。

「でっかいさんよ、何かが欲しけりゃ、その代わりっていうのが必要だ。
世の中はそんなに甘くないよ?」

ナトゥーは指にはめていた金の指輪を外して、ダークエルフの警備兵に投げた。
ナトゥーの指輪を受け取った警備兵はその指輪を自分の親指にはめながら答える。

「つい先、牢獄からでたベロベロというハーフリングのじじさ。
ハーフリングの四大長老の一人、眉毛ミミズク長老だそうだが、ここに半年閉じ込められて、結局くたばることになっちまったな。
先そのハーフリングを迎えにきた黒い兜の警備兵がその‘死の伝達者`なんだ。
彼らが訪ねるということは、すなわち死刑が下ったということよ」


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