第六章 嵐の前夜

第5話 1/2/3

「お越しですか、大長老様」

「試験は順調に進んでいるか陛下がお気になられるようで、様子を見に来ました。先程監督官から基本規則は必ず守れと言いましたが、それは何ですか?」

「一つ。正々堂々と試験に臨むべし。一つ。人の手を借りず、己の手だけで試験に臨むべし。一つ。いかなる困難にも打ち勝つ心構えを持つべし。この三つでございます」

カルバラ大長老は理解したかのように頷いた。
大長老に基本規則に関して説明した後、試験監督官はキッシュとドビアンに言った。

「キッシュ様は東側、ドビアン様は西側の入り口からお入り下さい。今から警備兵たちがお二人様を入り口までご案内いたします。入り口に立ち入ったその瞬間から試験はスタートです。」

説明が終わった途端、監督官は叫んだ。

「警備兵!」

監督官の呼出に警備兵たちが5人ずつ、キッシュとドビアンの周りに立った。二人は警備兵たちに従って入り口へと向かった。二人が見えないほど遠くなると、監督官は総司令官、バハドゥルを見て首を縦に振った。

バハドゥルは監督官に頷いた後、自分の部下達に付いて来るよう手振りをした。すると、10人の警備兵たちが大きな袋を一つずつ背負ってバハドゥルに従って灰の戦場の南側の海岸へ歩いて行った。

海岸に到着したバハドゥルと警備兵たちは背負っていた袋を地面に下ろして、中から何かを1つずつ出し、島に向かって投げた。警備兵たちが袋から出したものは大きなつぼみのように見えた。


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