第六章 嵐の前夜
第2話 1/2/3/4/5/6 エドウィンは司書に聞いてみるしかないと思い、廊下の住処で眼鏡をつくろいながら何かの書類を作っている司書に近づいた。 「すみません、調べてみたい資料が見つからないのですが、ちょっと手伝ってくださいませんか?」 囁くように聞くエドウィンの質問に司書は忙しく動いていた手を止めて顔を上げた。 何の表情もなく自分を見つめている司書に、エドウィンはヘルラックの預言書に関する資料を探しているけど見つけられないと言った。 「ヘルラックの預言書? 蔵書リストを確認してみますので少々お待ちください」 司書は自分の椅子をくるりと回して後ろに向いた。 壁だと思っていたところを何十個の小さな引き出しがぎっしりと並んでいるのがみえる。 司書は引き出しを一つずつあけてその中に詰まっている小さな紙カードたちをめくり始めた。 開けられた引き出しに入っていた数百枚の紙カードが、司書の指先を風のような速さで触れてからまた収納される。 その過程を何回か反復した司書は頭を横に振った。 「申し訳ありません。 `ヘルラックの預言書`と関わりのある本は一冊もありません。 実は私も相当長らくここで働いてきましたが、`ヘルラックの預言`に関する本は無かったと思います。 クラウト・デル=ラゴスの参謀であったヘルラックが預言書を書いたということも初耳ですよ」 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |