第六章 嵐の前夜
第10話 1/2/3/4/5/6/7/8 ‘お母さんにあげるつもりかな’ 走って行くオルネラのあとをつけていると、いつの間にか夕日は沈み、星が浮かんでいた。夜になったが、ちらつく光を発しながら飛んでいる蛍のおかげであまり暗くはなかった。だからなのだろうか、オルネラは怖がる素振りもなく楽しく走っていた。 青い海色の壁に白い屋根が乗っている家が目の前に現れ、オルネラはお母さんを呼びながら家の中に入った。トリアンもオルネラのあとをつけて中に入った。元気良くお母さんを呼んでいた女の子の声は、急にリビングで途切れた。 オルネラを追ってリビングに入ったトリアンは息が止まってしまいそうになった。リビングには巨大なペルソナが一人の女性を攻撃していたのだ。 「オルネラ!逃げなさい!」 ペルソナに攻撃されている女性はオルネラのお母さんだった。オルネラのお母さんは逃げなさいと言ったが、幼いオルネラはすでに恐怖で気を奪われていた。 母親はペルソナにしばらく目を眩ませる強い光を撃ってから、オルネラに走り寄り、肩を握って振りながら逃げなさいと叫んだ。お母さんの叫び声に気がつくと、オルネラは激しく体を震わせて床に座りこんでしまった。 「オルネラ!早く逃げなさい!お母さんが後で向かえに行く…」 最後まで伝えることも出来ず、彼女は口から血を吐きながら倒れてしまった。いつの間にかペルソナが追ってきて、彼女の背中に長くて鋭い爪を刺したのであった。 ペルソナの爪が彼女を貫通し、噴かれた血がオルネラを染めた。ペルソナは血を浴びたオルネラをみて攻撃しようとした。しかし、オルネラのお母さんは素早くオルネラを背中に隠してワンドで光のシールドを作った。ペルソナの攻撃は光のシールドに弾かれた。 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |