第六章 嵐の前夜

第2話 1/2/3/4/5/6

彼らの解析が真実なのかどうかは分からないが本当にトリキア・シィルラ・デル=ラゴスが先王の影から脱するため宗教改革を行ったのであれば、それは半分しか成功してなかった改革だった。
トリキア・シィルラ・デル=ラゴスが残した数々の業績より王妃シィルラに向かうダンカン・デル=ラゴスの切ない恋物語が人口に膾炙され、より多くの芸術作品として表現されたからである。

段々赤くなる夕焼けで図書館は大きな薔薇が満開したように見えてきた。
王妃シィルラが薔薇が好きだったということまで考えてダンカン・デル=ラゴスが図書館を建てたかどうかまでは分からないが王妃に対する彼の愛情を考えてみると十分ありえる話だった。

`一生一人だけを愛して生きていくということは確か容易なことではないだろう…
それだけに相手を愛していたということだからな…
きっとダンカン・デル=ラゴスは国王だったからではなく、それだけ愛した人がいたことから、皆羨ましがっているのだろうね。
たとえ悲しい別れを迎えたとしても、そんな愛を経験したということこそ神の祝福というものじゃないかな。
俺にもそんな愛が訪ねてくるだろうか…`

エドウィンは思わずセンチメンタルに流されている自分に気づき、自分の心を誰かにばれてしまわないよう、急いで足を運んだ。


・次の話に進む
・次の章に進む
・前の節に戻る
・前の話に戻る
・前の章に戻る
・目次へ戻る