第七章 破られた時間
第11話 1/2/3/4 エレナが「ゼロス」を作る為に必要な材料リストをコヘンに渡してから3日後、自分の倉庫に山積みされている材料を確認して、コヘンの仕事の大変さが分かった。自分のお爺さんは材料を集めるまで1年近くかかったのだ。 それを3日で準備したのだ。早速、エレナは‘ゼロス’を製作し始め、ゾナトの結婚式の前日、ようやく‘ゼロス’は完成した。しかし‘ゼロス’を見たゾナトは少し疑うようにエレナに聞いた。 「これが魔法を弱化させる鎧‘ゼロス’ですか?」 エレナは微笑みながら頷いた。ゾナトがそんな疑問を持つのも当たり前だと思っていたからだ。‘ゼロス’は魔法を弱化させる鎧と呼ばれるが、見た目では鎧というよりシルクで製作されたマントに近いものであった。 ゾナト・ロタースが慌てた表情で‘ゼロス’とエレナを繰り返してみていた。その時、カエールがエレナの作業室へ入ってきた。 「エレナ、お客さんが…。お!完成しましたか!」 エレナを訪ねてきたカエールはゾナト・ロタースが手に持っていた‘ゼロス’を見つけて歓声を上げた。 「これが、話していた魔法を弱化させる鎧?」 いまだに信じられない表情のゾナトがカエールに聞いた。カエールは頷きながら答えた。 「はい、見た目では鎧と言えないですが…」 ゾナトはようやく安心した表情になった。カエールも‘ゼロス’をしばらくは観察していたが、やっと訪問した目的を思い出した。 「カイノンの東入口にジャイアントが一人来ています。エレナさんに会いたいそうです」 「私に?」 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |