第七章 破られた時間
第5話 1/2/3 目の前が暗くなり、再び明るくなってからやっと、トリアンは自分がオルネラの夢から抜け出したという事に気が付いた。 ジェニスが驚いた顔でトリアンの肩を握っていた。トリアンは強く握っていたオルネラの手をそっと離してあげて、呼吸を整えながら立ち上がった。体は冷や汗で濡れていて目元には涙が浮かんでいた。 「大丈夫?トリアン」 ジェニスが心配そうに聞いてきた。トリアンはかろうじて答えるとオルネラの部屋から出ていった。ジェニスもオルネラの部屋を出て、トリアンを自分の部屋に連れて行った。 大きな衝撃を受けたように呆然としているトリアンをベッドに座らせて、冷たい蜂蜜茶を手に握らせた。トリアンは砂漠を彷徨ってきた人のようにあっという間に蜂蜜茶を飲み干した。何回か深呼吸をしてからトリアンが口を開けた。 「私、見ました。オルネラの一番ひどい記憶を…」 「オルネラの目の前で親がモンスターに殺される現場を…その記憶を見たっていうの?」 トリアンは首を横に振った。 「私たちが想像していた事よりもっとひどくて…もっと悲劇的な事件を…オルネラは目の前で見ていたのです」 「トリアン詳しく説明して。いったい何が起きていたの?」 トリアンの目から涙がこぼれ落ちた。 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |