第七章 破られた時間
第6話 1/2/3/4/5/6 「本当に一人で行くつもりですか?」 ジフリットの心配そうな質問にベルゼン伯爵は微笑みを浮かべながら言った。 「私の事を信じ、城門を開けておくとおっしゃいました。シュタウフェン伯爵はそんな人なのです。心配する事はありません」 グレイアムは格式のある服装をしてから馬に乗った。馬にも一切防具をつけてない状態だった。 「それでは行って参ります。いい結果になるように祈ってください」 三人に挨拶をしてからグレイアムはシュタウフェン伯爵の城に向かって馬を走らせた。崖の下につながる道を走っていくグレイアムの馬を見ながらみんなは不安な様子を隠しきれなかった。 しかし、シュタウフェン伯爵の手紙に書いてあった通りに、城門は無防備と思われるほど開放されていた。城門が開かれた隙を狙って襲撃すると、むしろ卑怯だと言われる気がした。 グレイアムは城門を通りながら馬の速度を緩めていった。城壁の内側は攻城戦に備えているようには見えなかった。皆立ち去って捨てられた城という感じがした。 馬から下りて周りを見渡していると、遠くからランプを持って小走りで近づいてくる年寄りの執事と馬子の格好をした男の姿が目に入った。 「ようこそ、ベルゼン伯爵様。ご主人様がお待ちしております。馬は馬子に預けられて、私と一緒に行きましょう」 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |