第七章 破られた時間
第1話 1/2/3/4/5/6 自分の子供を殺したという暗殺者を許し、面倒をみてあげたが、たまにはあの暗殺者が永遠に眠りから覚めないように願っている自分がいた。その度にタスカーは風の女神シルバに祈りながら自分を叱った。 螺旋階段のてっぺんに着くと広い会議室が目に入った。二つの同心円を描くように椅子が置かれていた。小さい円には4大長老のための4つの椅子が、外側に大きい円を描きながら12個の椅子が置かれていた。タスカーは大長老を席まで案内すると、自分の席に向かった。 椅子に座りまわりを見ると、幾つか知らない顔がいた。情報収集家はそのほとんどが、年を取ると自ら引退することが多かった。引退する情報収集家の人数分、新しい情報収集家が選ばれたため、情報収集家はいつも12名だった。 旅行が多いため、情報収集家になるには健康であることが第一の条件だったが、何より重要なのは高い識見だった。自分が得た情報を正確に判断できる能力なしには、いくら様々なことを見て聞いても無駄だった。 情報収集家になるための試験に合格しても、研修から正式情報収集家になるまで、10年以上の時間が必要だったため、現役の情報収集家はほとんど若者よりは中年の大人たちだった。 しかし、今タスカーの目の前にいる新しい情報収集家たちは皆若者だった。タスカーは自分の隣に座ったハルルに小さい声で聞いた。 「新しく入ってきた人たち、皆子供ばかりじゃん」 ハルルは虫眼鏡越しにタスカーを見つめながら言った。 「聞いてないの?情報収集家の数が少ないとこと。最近、情報収集家の中で無事に帰ってきた人がほとんどいない。ほとんどモンスターと少数部族に攻撃されて死ぬか、引退しなきゃいけない状態になって帰ってきたの。 多分今回無事に帰ってきたのは貴方ぐらいじゃない?」 「なに?」 「情報収集家たちがずっと交代しているから、今はあんなに若い子たちしか残ってないのよ。 この先、情報収集家をする人もいなくなるかもよ」 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |