第七章 破られた時間

第11話 1/2/3/4

ナトゥが渡した巻物をもらったエレナは、巻物を読む勇気がなさそうにじっと見ているだけだった。当分の間見続けていたがエレナはナトゥに振るえながら聞いた。

「彼は…ベロベロ爺さんは…どうなりましたか?」

「亡くなりました…」

ナトゥの回答を聞いたエレナは何も答えずに倒れるように椅子に腰をかけた。ゾナトやカエールに2人きりにして欲しいと合図をした。

ゾナトとカエールは手紙の内容が気になったが、一瞬で体に全ての力を失ったように椅子に座っているエレナと気まずそうに立っているナトゥを後にして2人は外に出た。何の動きもなく下向いていたエレナが静かに顔を上げ、ナトゥに聞いた。

「なぜ亡くなりました?遺体はどこに…?」

「僕が最後に彼を見たのは黒い兜をかぶったダークエルフの兵士に連れられて、地下監獄から離れる姿でした。」

「死の伝達者…」

エレナは辛そうにうめき声をだした。しばらくの間、目を閉じて眉間にしわを寄せていたがが、深く深呼吸をした後目を開きナトゥからもらった巻物を開いて読み始めた。書いてある文章を読んだエレナは何もいわず、窓を開けた。

そして、首にかけていた木の笛を思いっきり吹いた。鋭い音が夜空を走り広がった。しばらくの間、笛を吹き続けたが、何かを見つけたように窓の外側に手を伸ばした。

遠くに見える点のようなシルエットが動き始めフクロウになった。白い眉毛の灰色のフクロウは静かに飛んできてエレナの手の甲にとまった。エレナは手の甲に灰色のフクロウを乗せまま、机につれてきて小さいとまり木の上にとまらせた。

灰色のフクロウの羽辺りを探るようにしたら、ナトゥが渡した巻物より大きいものが出た。ナトゥはあれを見てやっと自分が渡した巻物にフクロウを呼び出すように書いてあったことが分かった。

エレナはフクロウの羽から引き出した絵巻を読み始めた。小さい文字で内容が書いてあった。巻物を読んでいるエレナの瞳が左右に動いた。どんどんエレナの表情が硬くなった。


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