第七章 破られた時間

第7話 1/2/3/4

その後、エレナが発明したのが弓の攻撃力を強化した石弓だった。エレナは石弓を作るために直接カイノンを訪れて生活しながら、ハーフエルフたちが使用する弓の研究を重ねた。

1年ぐらいが経った頃、ハーフリングたちに石弓をお目見えさせることができた。ゾナト・ロータスは彼女に感謝し、カイノンでの研究が更に頑張れるように支援を続けると提案した。

多くのハーフエルフたちがエレナから石弓の製作法を学んだ以後も、彼女はカイノンにとどまる事になった。生まれながら快活で明朗なハーフリングと、反抗的で個人主義のハーフエルフたちは簡単に仲良くなることはなかったけれど、カイノンで長年暮らしながらエレナはハーフエルフたちとの間に深い友情を生む事ができた。

時々、ハーフエルフたちからの頼み事を聞いてあげていたエレナにゾナト・ロータスはある頼みごとをした。

しかし、彼の頼みを聞いた瞬間、エレナは尋常ではない計画が進められているということに気がついた。

「魔法を防げる鎧?」

エレナの問い返しにゾナト・ロータスが首を縦に振った。

「完璧に防ぐことが出来なくても…ハーフリングには魔法攻撃を弱化させる鎧を作る技術があると聞きました」

「はい、確かにあります。‘ゼロス’と呼ばれる物ですけど、ダークエルフたちがいつ攻めてくるか分からないから私たちハーフリングとしては、かなり重要なものです。しかし、軍長がなんで‘ゼロス’を…」

「うむ…私ではなくヴェーナに行く使節がいまして…ご存知の通りエルフの中には私達を嫌う人たちが多いものですから、念のため着ていったほうがよさそうで」


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