第七章 破られた時間
第1話 1/2/3/4/5/6 タスカーは言葉を失って新しい情報収集家たちを見つめた。空いていた席が全て埋まると、会議室のドアが閉められた。大長老が席から立って周りを見回してから口を開いた。 「お久しぶりです、皆さん。実は1ヶ月しか経ってないのですが…今日ここに集まったのはこの間、皆さんが収集した情報を交換し、リマがこれから進むべき道の方向を決めるためです」 大長老はしばらく口を止めて、深呼吸をしてから言葉を続けた。 「この間、情報収集家たちが苦労して集めた情報を元に我々は現在、大陸の全体的な状況が把握できるようになりました。国境を守っていたドラゴンがいなくなってから、我々以外で7つの大種族が存在するということ。 その中で我々を含めた5種族は下位神を祀っていること。そして現在、下位神たちから祈りに対する返事を聞いた種族は誰もいないということを… まだどの種族でも、下位神がなぜ我々の祈りに答えてくれないのか、なぜもう我々の前に姿を現してくれないのか、その理由は分かりません。しかも、時間が経つにつれて、モンスターの数は増え、我々に敵対する少数種族も増え、人々の中では神が我々を見捨てたという噂も回っているようです。 今回、ヒューマンのグラット要塞壊滅事件からそういった噂がその勢いを増しています。その件に関して、なにかしら情報を持っている方はいらっしゃいますか?」 タスカーの向こう側に座った髭の男が席から立ちながら言った。 「私がグラット要塞の周辺と周りの村から情報を集めました。」 「お、バーブムさん。ご無事なようで幸いです。それでどのような情報ですか?」 「デル・ラゴスでは大きいモンスターの襲撃により、グラット要塞が崩壊したと発表されたようです。ほとんどの村人も大神殿で発表した内容を信じているようでした。 グラット要塞が崩壊してから、周辺の村人達ほとんどがその場を離れ、中心地であるアインホルンに向かっていました。グラット要塞の内部に入る事は不可能に思えました。出来る限り近づいてみると、大神殿の発表どおり、近くの森からモンスターの痕跡が見つかりました」 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |