第七章 破られた時間
第11話 1/2/3/4 ‘なんて書いてあるんだ?’ エレナは何回も何回も繰り返して呼んだ。10回くらい読んだ後、やっと巻物から目を外して窓の外を眺めた。 「なんと書いてありますか?」 ナトゥの質問にびっくりしたように答えた。 「何でもありません。ただ…遺言が書いてあります」 少しどもりながら答えるエレナがおかしいと思ったが、突っ込み出来る立場ではないので、何も言わなかった。二人の間に緊張と沈黙が走った。 「一つお願いがあります」 沈黙を破って口を開いたのはナトゥの方だった。 「何でしょうか…?」 「プリアにはダークエルフが一人いると思います。彼に私の手紙届けてください。」 「プリアにダークエルフがいることはどうして知っているんですか?」 エレナの鋭い質問にナトゥは偶然情報が入ったと言葉を濁した。しばらくナトゥを見ていたが、エレナは伝えると答えた。ナトゥはエレナから紙一枚とペンを借りて迷いながらも簡単に内容を書いた。 ‘フロイオンアルコン卿へ。この手紙をお読みになりましたら、即時カイノンに向かってください。 何があってもイグニスに戻ってはいけません。ナトゥから’ ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |