第七章 破られた時間
第1話 1/2/3/4/5/6 ハルルは手を挙げながら言った。 「しかし、グラット要塞はデル・ラゴスの中でも最強と言われていた要塞です。どうしてそんなに簡単に崩れてしまったのですか?」 「私もよくわかりませんが…大神殿からはそう発表したそうです。おかしい所は、グラット要塞の唯一の生存者となった聖騎士がいるのに、大神殿と聖騎士団ではそれが誰であるかまったく明かしていないようです」 タスカーはふっとエドウィンの事を思い出した。 ‘旅行中、宿でグラット要塞が崩壊したという噂を聞いた時にもエドウィンの顔色がよくなかった。もしかすると、エドウィンがグラット要塞の唯一の生存者ではないかしら?’ 「私が調べた情報はここまでです。」 言い終わったバーブムが席に座ると、大長老が頷きながら言った。 「大切な情報、ありがとうございます。唯一の生存者に関して情報を隠しているというのは、彼が見てはいけないものを目撃したからでしょう。それ以上詳しい事情を調べるのは難しそうですね。 グラット要塞は我々の首都であるランベックからかなり離れてはいますけれど、安心はできません。日に日に大勢が急変しているからです。我々も、もしもの時のために準備をしなければいけないと思います」 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |