第八章 夢へと繋がる鍵
第12話 1/2/3/4 優しいそよ風が神殿の天井を回りながら香ばしい花の香りを運んでいる。 バルコニーに立ってヴェーナ広場を詰めつくしているエルフ達を見下ろしている 女王シルラ・マヨル・レゲノンの表情はあまり明るくない。 世の気運がだんだん汚れているのが分かっていても自分で何が出来るか分からない。 神々が世界を破壊しようとしていることは知っているが、理由が分からなく、何をすれば止められるのかが分からない。 ただ、苦しんでいるだけだった。 彼女は雲一つなく輝いている空を見上げていた。 そして目を閉じ、女神へお祈りを捧げた。 ‘貴方が私達に背を向けているのは知っています。 しかし、どうか私のお祈りに耳を傾けてください。 なぜならば、貴方にお祈りを捧げること以外に私には何も出来ないからです…’ 閉じている目から、静かに涙が流れてきた。 「陛下、大神官リマ・ドルシル様がお待ちです。」 女王の背中から侍女の声が聞こえてきた。シルラ・マヨルが涙を隠して答えた。 「中まで案内してください」 侍女が出て、リマが入ってきた。 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |