第八章 夢へと繋がる鍵
第4話 1/2/3 「さあ、これからどうすればいいんだ…」 セルフは意識を失ったまま、ベッドの上に横になっているゾナト・ロータスの顔を見ながら独り言のようにつぶやいた。カエールは何も言わなかった。まさか犯人が三人もいるとは思いもしなかった。 カエールは結婚式の前日にセルフとアリエに犯人は二人だと言ったのだ。 「リリーとメイが同時に命を奪われた。それは殺人犯が二人だということを意味する。 明日、軍長の結婚式には必ず二人とも来ると思う。だから一人を捕まえたとしても安心してはいけない」 しかしカエールの予想は外れた。人々の中に身を隠していた殺人犯は三人だったのだ。 カエールが最初の攻撃者に気がついて阻止した後、セルフとアリエもそれぞれ一人ずつ見つけて捕まえることが出来たが、セルフとアリエが見つけたのは既にゾナトが攻撃を受けた後だったのだ。 二人はカエールが捕まえた最初の攻撃者が失敗した場合のバックアップとして準備していたのだった。 ゾナトは‘ゼロス’を着ていたのにもかかわらず、二人同時の魔法攻撃には耐えられず、意識を失ってしまったのだ。 「もうすぐ軍長の意識も戻るでしょう」 隣でゾナト・ロータスを介護していたバナビーが静かに話しだした。彼女の声は小さくて落ち着いていたが、自信に満ちていた。バナビーはカエールとセルフを見ながら話した。 「だから、私達は、信じて待っていればいいです」 カエールとセルフは何も言えずにうなずいた。バナビーはゾナト・ロータスの手を握りしめながらしゃべった。 「軍長の意識が戻るまで殺人犯の処理は保留した方がいいと思います。この事件は、エルフ達に正式に抗議するべきだと思います」 「了解です。私達は他のハーフエルフが彼らを攻撃して話が厄介にならないように監視します」 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |