第八章 夢へと繋がる鍵

第13話 1/2/3

カエールは残っていた眠りが一瞬で消える気分だった。

「何だと?何の話だ?」

「監獄に閉じ込めていたエルフ達が全部殺されてしまった!」

「何?警備兵達がいただろう!」

2人は監獄に向かって走っていた。

監獄の前には人々が集まってこそこそ話をしている。
カエールが監獄に入ると、そこには目を背けたくなるような残酷な光景が広がっていた。
傭兵の仕事をしながら、残酷な場面には数え切れないほど出会ったと思っていたが、
今目の前に広がっている死体たちは、あまりにも酷すぎて直視することが出来なかった。
やっと覚悟を決めて、もう一回死体を見た。
胸には矢が刺さり、腹は切り裂かれ、肉と内臓が散らばっている。
激しい憎悪をと哀しみを抱いた者に殺された事は、誰が見てもすぐ分かるくらいだった。

「死んだ新婦たちと同じ姿にしておきたかったのか…」

カエールがつぶやく声を聞いて、セルフは青白くなった顔で答えた。

「いや、それ以上だろう。今までこんなに無残に殺された死体はみたことがない」

カエールは振り返って監獄の外を一度見てドアを閉じた。

「警備兵たちは何をやっていたんだ?」

「警備兵が飲む水に睡眠剤を入れた奴がいるようだ。
夜明け頃、交代に来た警備兵が着いたら、監獄のドアは開けっ放しで、
警備兵達は倒れて眠っていたそうだ」

「ちくしょう…」


・次の節に進む
・次の話に進む
・次の章に進む
・前の節に戻る
・前の話に戻る
・前の章に戻る
・目次へ戻る