第八章 夢へと繋がる鍵
第15話 1/2/3/4 表に出したことはないが、神たちがロハンの種族を捨てたという噂を聞いた事がある。 今まで‘あり得ないこと’と無視してきたが、本当に捨てられたのではないかと感じた時もある。 ヒューマン族の最高要塞グラット要塞がモンスターに落ちてしまい、エルフ達がモンスターに首都レゲンを奪われ、疫病で数多くのエルフ達が命を奪われた。 毎日のように増加し続けているモンスターの為、人々が多く集まっている場所以外は、 モンスターの攻撃に明け暮れている。 前回の会議では自然が破壊されている話まで出てしまった。 この世はどんどん混乱に落ちている。 まるで何処からか混乱の源があって、泉のように溢れ出ているように、この世に吸い取られている。 もしかして、時間を逆行させ、この世が生まれる前の状態に戻したがっているのではないか? 彼女も息子が知りたがっていた真実が知りたいと思った。 生まれつきの好奇心で彼女の胸がいっぱいになった。 本当に神が存在するのか、神が存在するとしたら、今はこの世から目を離しているのか… タスカは息子の日記帳を大事に両手で抱えて部屋から出た。 まず‘ラウケ神団’の内面にさらに近付くことにした。 ‘ラウケ神団’が知っている真実が何かを知るためにはより核心に近づかなければならない。 エミルの日記によるとラウケ神殿修道院に行けば、 ラウケ神団の教授である、‘エリシャ’に会えると書いてあった。 彼女はヴェーナへ向かい旅立つ準備をした。 荷造りをしている途中で、ふと窓の外をみたら、 武装した兵士達がどこかに向かって急いで移動しているのが見えた。 その兵士達の登場に疑問を持つのがタスカ一人ではないらしく、人々が道端に立って彼らを見ていた。 何か嫌な予感がする。兵士達が向かっているのはランベルクの西門だった。 「何処へ行く為に武装しているのか知っている?」 ドアの前で道の掃除をしていたトムが兵士を見ながらブロンスに聞いた。ブロンスは自分も知らないという表情だった。ランベルクの西門に向かっていた兵士達は少しずつ北へ向かって動いた。 ・次の節に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |