第八章 夢へと繋がる鍵
第6話 1/2/3/4 ある日、自分の唯一の友達が死に、シカの寿命がハーフリングに比べて短いことを知った。 彼女はシカのために真剣な気持ちで祈りを捧げた。 自分の命をあげてもいいので、シカを助けてくださいとシルバにお祈りした。 これを聞いたシルバは主神オンに頼んで、少女の願いを叶えたいと言った。 シルバの話とドゥリンの心からの祈りに感動した主神オンはドゥリンの前に現れ、 シカにドゥリンの命を分け与えれば、二人は一緒になれると説明してくれた。 ドゥリンは迷わず頷いた。主神オンはシカとドゥリンに召喚の契約儀式を教えてあげた。 それが、銀角シカ部族が召喚獣と契約を結べるようになった始まりといわれている。 互いの存在を知ってはいたが、国家にならず、それぞれ部族を代表する長老を選出し、長老の指示の下で秩序を守ってきたが、シルバの指示によって、64年に初めて各部族の長老が集まって大長老を選出し、国家として一つになり始めた。最初の大長老は眉毛ミミズク族の長老であったボグダンだった。 彼はリマを国家名にし、当時一番多くのハーフリング集落だったランベックを首都と発表した。 各部族の文化が混ざり合い、ランベックはハーフリングの特徴を色濃く反映した都市として発展した。 科学的と自然が調和した都市がハーフリングたちの自慢であった。 それぞれの部族村で生活する人も少なくはなかったが、 ランベックにはいろんなハーフリングが集まるためいつも賑わう街であった。 しばらくして、ランベックで長老の会議が開かれた。 新しい大長老が選出されると祝福の儀式を行う‘巨大な知恵の木’、 ハーフリングの創造神である女神シルバの司祭が教育を受ける‘風の翼’、 そして、情報収集委員会の研究所などがあった。 松コケ部族の技術が結集した首都の建物を見るたび、エレナは発明家である自分が好きになった。 久々に帰ってきたランベックは変わっていた。 建物は建築技術の発達でよりきれいで、より丈夫に、同時に自然と調和を深めていた。 エレナは心の底ではここを懐かしがっていたことに気がつき、自然と目頭が熱くなった。 しかし、今は過去を振り向く暇がない。感傷にひたるのは後にしなくてはならない。 ハーフリングたちに衝撃的な事実を早く知らせるのが何より急ぎだ。暗くなった空の下に大きな木の形をしている‘巨大な知恵の木’に向かい急いで足を運んだ。 長老たちは会議がある日以外にはそれぞれが自分の村で生活をしているが、大長老は‘巨大な知恵の木’で過している。 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |