第八章 夢へと繋がる鍵
第4話 1/2/3 アリエはカエールに軽くキスして家へ向かって歩き出した。カエールはアリエを見送ってから、セルフと一緒に監獄の中に入った。 それぞれ包帯を巻いた3人のエルフが目を閉じたまま膝ついて祈りを捧げていた。あまりにものんきな彼らの姿に腹が立ったセルフが壁を激しく蹴り上げた。カエールも自分を抑えるように頑張りながら、彼らの様子を見ていた。 しかしエルフ達は気にしないように祈っていた。 「あなたたちに聞きたいことがあります」 カエールが監獄の中に流れていた沈黙を破り、口を開いた。セルフはカエールの声に少し驚いた。冷静に聞こえるが、いかにも大きな怒りが感じられた。エルフ達にも聞こえたのか、目を開いてカエールに視線を合わせた。 「まず…あなた達は誰ですか?」 丸顔に長い金色の髪を一つに結い上げたエルフが答えた。 「私はルネタ・モース、こちらはガビエル・アルジナ、そしてこちらはベルナス・ベニチだ」 自分をルネタ・モースだと紹介したエルフは傲慢な顔だった。彼女の左足には包帯が巻かれていた。 彼女の隣に座っているベルナス・ベニチが右肩に包帯を巻いているのを見て、自分が捕まえたエルフだと分かった。 その隣に座っているガビエル・アルジナは左手の包帯を触っていた。 三人ともカエールと同じくらいの年に見えるが、彼らがまだ成人式もやっていない子供だと分かった。 エルフとハーフエルフは見た目ではほぼ似ているが、エルフはハーフエルフより成長速度が速い。エルフは15歳になると外見では大人にみえるのだ。そして、100年間は外見が変わらず、100年が過ぎてから徐々に老けていくのだ。 カエールは目の前でずうずうしい顔をしているエルフ達が16、17歳程度の若い連中だと分かった。彼らは謝罪の言葉一つもなく、平然とした表情でカエールたちを見ている。 セルフはそんな態度に怒りが抑えられずに壁を蹴り続けている。 カエールの次の質問にセルフも動きを止めて耳をすませた。 「なぜ、結婚式場で新婦たちを殺しましたか?」 三人は互いの顔を見るだけで、話をしない。 カエールは軽蔑する顔で彼らを見下ろしながら開いた。 「お前らの神が指示でもしたのか?」 「そうだ」 カエールのひねくった質問に答えたのはベルナス・ベニチというエルフだった。 短い金髪の下に見える緑色の瞳は自負心で輝いていた。 「マレア様が現れて、おっしゃってくださった。 エルフの血が混ざっている不完全な存在を消せと。半分のエルフ、お前らのことだ」 ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |