第八章 夢へと繋がる鍵
第7話 1/2/3/4 ‘午後一人で森の中で歩いていた途中、きれいな歌声が聞こえてきた。歌の内容は理解できなかったが、すごく癒される気がするきれいな声だった。声がする方へ歩いていたら、木の下に座って歌っているエルフを見つけた。 彼は僕に気がついてなかったのか、歌い続けていたので、僕も静かに聴いていた。 歌が終って僕は自分も知らず、拍手を挙げた。 彼は驚かずに静かに僕へ微笑んでくれながら、名前をガラパーと教えてくれた。 僕も自分を紹介し、きれいな歌声に引かれてきたと説明して歌の意味を聞いてみた。 彼は神への愛を告白する内容だと言った。 その答えを聞いた瞬間、ブタマさんのことを思い出してしまい、神への疑いも強くなった。僕の表情が暗かったのか、ガラパーは何か言いたいことがあるのか聞いてきた。 エルフたちの神への思いをよく知っていたので、彼に正直に言えなかった。 答えずに迷っている僕を見ていた彼は新しい歌を歌い始めた。さっきのようにきれいな曲だったが、なぜか悲しい気がした。 歌が終った後、神へ許しを請う歌だったことを説明してくれた。 僕はやっと勇気を出して僕の本当の気持ちを話した。 今もなぜ彼に正直に話が出来たかわからない。 彼の声とまなざしに安心してしまったのかもしれない。 本当に神が存在するか分からないと告白する僕の話に驚いた様子だったが、怒ったり、疑問を持たれたりはしなかった。 彼はただ静かに何かを考えている様子だった。そして僕になぜそう思い始めたのかを聞いた。 僕はブタマさんの話をしてあげた。彼は僕の話が終るまで静かに聞いていた。 すると、無理もないといってくれたので、僕のほうが驚いた。 彼は空を見上げて深くため息をついてから話し始めた。 「私は本当に神が存在すると信じています。 最初、この世が創られて私たちが生まれたのは誰かの手によるものだと思っています。 私たちを創ったのが、神ではないとしたら一体誰なのでしょうか。 ただし、最近起こっている悲しい事件の数々は神様たち怒っているからだと思っています。神様たちも私たちみたいに感情を持っていて、悲しんだり、怒ったりするのでしょう」 神様たちがなぜ怒っているのかを聞いた。 「さあ、なぜでしょう。なぜ神様たちが怒っているのかは分かりませんが、私たちが本気で許しを請えばいつかは許してくださるでしょう。 親は結局、子供に負ける存在ではないですか。 あなたはさっきの歌声に引かれてここまできたと言いましたが、実はあなたの心が歌詞を理解して引かれたのだと思います。 今あなたは神の存在に疑問を持っていますが、心の奥では神を信じていると思います。 神の存在を信じているからこそ、全ての責任を神押し付けているのではないでしょうか?」 僕は頭の中がぐちゃぐちゃになって何も言えなかった。 カラパー自身も僕のように神の存在を疑ったことがあるといった。 ラウケ神団の人々と出会ってから、神の存在に確信を持ち、祈りを捧げていると言った。僕はラウケ神団について聞いた。 それが僕とラウケ神団の初めての出会いだった’ ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |