第九章 運命の渦巻
第1話 1/2/3 呪いの塔は気持ち悪い雰囲気だった。内部の状況はもっと悪くて前が見えない暗闇から わめき声や叫び声が絶えず聞こえてきた。 鳥肌が立つくらい空気は凍っていた。 キッシュは両手に短剣を握り、一歩一歩前へ進んでいた。 床には正体が分からない液体が広がっていて、足を運ぶたびに気持ち悪い感じがした。 遠くから聞こえてきた叫び声が減る代わりに脅かす声が聞こえてきた。 ‘アバドンか?’ 試合の内容はアバドンを生け捕りすることだったが、 呪いの塔のどこら辺にアバドンがいるのかはまったく知られてない。 簡単に言うと、‘アバドンを生け捕りにするまで、呪いの塔の悪魔達と戦い、生き残ること’になるだろう。 キッシュはゆっくりとつぶやき声が聞こえてくる方向に向かって移動した。 アバドンが‘千の顔’と呼ばれていることは知っていても、アバドンの顔は知らない。向かっていくと、青く光っているスペクターが視野に入ってきた。 人の顔の皮をはがして、巨大な団扇を作り背負っているスペクターはキッシュを見つけて鋭く叫びながら巨大な鎌を振るってきた。キッシュはゼンで十字を作り攻撃を止めた。 「チクショウ!強いな」 スペクターの鎌とキッシュのゼンがぶつかった状態でキッシュは後ろへ引きずられた。 キッシュは後ろの方に何もないことを確認して、素早くゼンを下にしながら、後ろへ移動した。 いきなりキッシュが消えた反動でバランスを崩したスペクターは床に鎌を差しながら、倒れた。 キッシュは立とうとするスペクターに向かって呪文を唱えた。ゼンから出た光がスペクターを囲んだ。 つらい悲鳴をあげながら、スペクターが消えた。 無事にスペクターをやっつけたキッシュはドビアンを思い出した。 ‘あいつ…大丈夫かな…?’ ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の章に戻る ・目次へ戻る |