第九章 運命の渦巻

第2話 1/2/3/4

「何だと?王城の地下監獄に閉じ込められた囚人が脱獄できただと!?ゴット・シャルク将軍!
一体部下の管理をどうしているのか?」

カノス・リオナンは怒りを抑えきれずに王座から駆け下りて、膝ついて下を向いているゴック・シャルトに怒鳴った。
ちらほら白髪が混ざっている将軍は静かに答えた。

「陛下、お許しを。全ては私の責任です。」

「ちくしょう!ただの囚人じゃないじゃ!ジャイアントからの使節を人質にしていたのに!
よりによってあいつが脱獄するなんて!いったいどうやって脱獄できたのか!」

「当時の警備兵の報告によると、黒い仮面の人に襲われて気を失ったそうです。
目が覚めてみたら、監獄の扉は開きっぱなしで…」

「だから!どうしてそんなことが起こるんだ!
しかもあいつは国境の警備まで簡単に通過したじゃないか!」

カノス・リオナンの怒鳴り声の間に、ジャドルの声が聞こえてきた。


「どうか落ち着いてください。」

カノス・リオナンは怒鳴るのを止めて、ジャドルが立っている方向をみた。
彼女は誘惑するように王座まで歩いて話を続けた。

「もう年寄って剣も振るえない将軍に怒ったって、陛下の頭が痛くなるだけでしょう」

ジャドルの軽蔑が混ざったしゃべり方にもゴット・シャルクは何の表情の変化もなく下を向いているだけだった。
カノス・リオナンは王座に戻り、まるで倒れるように腰を下ろした。


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