第九章 運命の渦巻

第3話 1/2/3

「ジフリト、気をつけろ。私がデル・ラゴス大司祭とは言っても国王陛下の臣下であることを忘れないで欲しい。何がいいたいか分かるか?」

ジフリトはお祈りをあげるように両手を合わせながら答えた。

「はい。心からお礼申し上げます。」

大司祭は切なさを帯びた目で、窓の外を見下ろした。

「もしかして、彼が目撃した全てが神様の意図かも知れない。
我々では想像もできない高い所の意志が彼に何かをやらせる為に準備した試練かもしれないと思うようになった。しかし、エドウィンが真実をしゃべってもこのデル・ラゴスで信じてくれる人はいないと思う。
恐ろしい真実を受け止める為には勇気が必要だから…」


深くタメ息を吐いた大司祭は窓の外に向いていた視線をジフリトに戻して、簡単なお祈りをし、会話が終わったことをあらわした。

「ロハよ、すべては彼方の意志に従うことであるように」

ジフリトは大司祭の部屋からでて、国立王室図書館へ向かった。
グレイアムがシュタウヘン伯爵の死刑式であったことについて何の報告も出してないにもかかわらずアインホルンのみんなが知っている。

‘見ていた人が多かった…’

バルタソン男爵に不満があった貴族たちは、自分の上司であり伯爵であるグレイアムに
反発したエドウィンを処罰するべきだと声をあげていた。
グレイアム本人は何も言っていないので、具体的な話は進まなかったが、噂はだんだん広がり、国王の耳にまで入ったようだった。
いつもジフリトのことを心配してくれた大司祭は現状を伝え、助言した。


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