第九章 運命の渦巻

第6話 1/2/3

「これが‘千の顔’のアヴァドンだと?」

ペルディナントは総司令官バハドゥルが持っているガラスの箱を見ながら答えた。

「そうです、陛下」

「不思議だな」

「私もそう思いました。‘千の顔’を持つ悪魔の真実の顔がこのようなものだとは
誰にも想像できなかったでしょう」

「いや、私はこの悪魔をドビアンが生け捕り出来た事が不思議だと言っているのだ」

「はい?」

バハドゥルが驚いて顔を上げた。

「若い頃、呪いの塔で偶然アヴァドンに出遭った。思い出したくもないほど醜い顔だった。
必死の思いで、やっとその悪魔を制圧することが出来た。
アヴァドンを消滅させるための最後の呪文を唱える直前、悪魔は紫色の煙となり消えてしまったのだ。
今までアヴァドンについては誰にも語ったことはない。
事実、アヴァドンの真実の顔を知っているのは私だけであろう。
だからこの試練は困難であり、正体不明の悪魔を生け捕りして帰るのが関の山であろうと思っていた。
しかし、ドビアン君は1日でアヴァドンを見つけ出し、この箱に封印して持ってきた。
あまりにも優秀すぎると言えるだろう。」

バハドゥルが持っているガラスの箱を見つめ沈黙していたペルディナントが口を開いた。

「今頃最後の試練が行われていることだろう…
君は、誰が国王に相応しいと考えているか?」

「ふむ…よく分かりません。しかし、誰が国王になったとしてもデカン族のためにつくすでしょう。」


・次の節に進む
・次の話に進む
・次の章に進む
・前の話に戻る
・前の章に戻る
・目次へ戻る