第九章 運命の渦巻
第9話 1/2/3 「今何とおっしゃいましたか?」 ハーフリングの大長老イゴルは自分の耳を疑った。メッツが両手を組み、軽くため息をついた。 「カイノンからリマにいる傭兵全員に撤収命令が下りました。明日、ランベックを含む、ハーフリング都市全地域に派遣されている傭兵達が撤収します」 「なんていうことを!有り得ない!一番傭兵の力が必要な今、いきなりですか?」 「しょうがないです。近いうちにエルフと戦争になる恐れがあります。 ご存知の通り、ハーフエルフは人口が少ないです。 全員がカイノンに復帰しても戦争の準備が出来るかどうか、確信も持てません。」 「エルフと戦争ですか?何があったのですか?」 メッツは硬い表情で立ち上がった。 「ハーフリングたちがエルフと交流が多いことは知っています。 しかし、ハーフエルフとエルフの関係は別途のことです。それでは私は失礼します」 「契約を破棄するつもりですか?」 「契約より生存が先ですね。生き残ることができれば契約も守られるでしょう。 契約に関してはカイノンの軍長と相談してください。それでは」 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |