第九章 運命の渦巻
第12話 1/2 その時ドアをたたく音がした。 警備兵が巻物を届けにきた。 巻物を開いて読んだバナビの顔に笑顔が浮かんだ。 「何にでも解決の道はあると聞いたが、今の状況がそれです。」 「何と書いてありましたか?」 「ドラットから、エルフとの戦争に手を貸したいとの提案がきました。」 「ジャイアントが私たちの力になると?」 セルフが信じられないというような表情でバナビを見ていた。バナビが頷いた。 「ジャイアントが力を借してくれるのなら、エルフとヒューマンもそう簡単には攻撃を仕掛けてはこられないでしょう。」 アリエが喜びながら話した。 カエールだけがまだ浮かない表情で首を横に振りながら話した。 「ジャイアントが今すぐ支援軍を送るとしても、彼らが着くまでは10日はかかる思います。我々の予測によると、連合軍がカイノンに着くのは今晩です。戦争は避けられないでしょう。」 「あ…」 カエールの説明を聞いたアリエはがっかりした様子だった。 「しかしジャイアントが私達に支援軍を送ったことが知らされれば、連合軍も私達に平和的な解決を持ちかけてくるかもしれません。 戦争を避けることは出来ないかも知れませんが、少なくとも被害をおさえる事は可能でしょう。」 ‘もしくは、全大陸が戦争に巻き込まれるか…’ カエールは、ひとり心の中でつぶやいた。 ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |