第九章 運命の渦巻
第13話 1/2/3/4 エッドマンド・ピエトラ公爵は怒りに満ちた目で話をした。 フロイオンは頷いた。 「ジャイアントとの密約の為、ドラットを訪問し、ドラットの力を目にしましたので、ピエトラ公爵の言葉には一理あると思います。 しかし、ジャイアントはなかなか密約を結ばないと思います。 ドラットのレフ・トラバ国王は、とても慎重な人物でした。 他の国でドラットを相手に戦争をしかけない限りは動かないと思います。」 「しかし、ジャイアントが密約を反故にし、イグニスに戦前布告をする可能性もあります。」 ピエトラ公爵の話はフロイオンには意味が伝わらなかったようだ。 「フロイオン・アルコンさんが亡くなったという噂がイグニスに広がった後、ドラットから使節が来ました。カノス・リオナンは使節に来たジャイアントを地下監獄に閉じ込め、彼に国王暗殺の罪を着せて処罰する予定でした。 フロイオン・アルコンさんの死亡と国王の暗殺未遂を仕組み、密約の成立を早めようとしたのです。 しかし地下監獄に閉じ込められていたジャイアントが脱出した為、計画は失敗に終わりました。 逆にジャイアント側に怒りを覚えさせたようです。 もし、カノス・リオナンが使節を監獄に閉じ込めたということが知られると、プライドの高いジャイアントは戦争をしかけてくるかも知れません。」 ピエトラ公爵の説明を聞いた人々の表情は硬くなった。 カラニオン・ジッド公爵は軽く笑いながらしゃべり始めた。 「ジャイアントの政治家の中に知り合いがいますが、ジャイアントの国王は使節がカオス・リオナンの暗殺を試みたことを聞いて、かなり怒りを覚えたそうです。 またそのジャイアントは不名誉なことを冒したとして、ドラットに入ることを禁じられたそうです。 ピエトラ公爵が心配していることはわかりますが、脱出したジャイアントがドラットに入るまではまだ時間がかかると思います。 その前にフロイオン・アルコンさんが新しい国王になれば、ジャイアントの使節のことも解決できるでしょう。」 カラニオン・ジッド公爵の説明を聞いた人々はようやくほっとしたため息をはいたが、 ゴックシャルトだけが自分の予測から離れていく状況で眉をしかめた。 「しかし、急ぎましょう。政治はいつも予測とは違う方向に行くものです。」 ・次の節に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |